銚 子 野 菜 50年 の 躍 進

通算101年の組織活動  「キャベツ50年」「大根21年」「とうもろこし20年」「銚子野菜連合会10年」

1)銚子市蔬菜連合会結成までのあらまし

 銚子市の春キャベツは、昭和28年から試作が始まりました。当時の畑作物は、甘藷と麦類が中心でした。野菜は、東部地区で自家用に栽培し、一部の農家が市内へ引き売りとして行われていました。

 冬作の中心であった麦作は、秋落ち(枯れ熟れ)により生産が不安定で、夏作の甘藷も価格の変動が著しく、農業経営の打開から新作物の導入を東部地区の4Hクラブ、農事研究会等の青年層が中心となって検討を行いました。

 検討内容は、

       (1)甘藷を減反しないで麦作より所得の安定すること。

       (2)普通作物より高い水準の技術を要しないこと。

       (3)集団栽培の可能な品目。

           昭和35年頃のキャベツ荷造り

昭和35年頃のキャベツ荷造り風景画像  これらの条件に基づいて検討した結果、

新品目として「かんらん」(甘藍・キャベツ)の

導入が輪作・労力・集団栽培等から考えて、

銚子地区に適応していると

意見が一致しました。

 
銚子における昭和35年頃のキャベツ出荷風景
 しかし、栽培を試みても生産者に栽培技術がなく

一戸で大面積を行うには困難が予想されました。

特に、甘藷や麦の販売は経験あるが、

かんらんの販売、輸送等は大きな不安でした。

 昭和29年の栽培を始めるに当たり、作型、

品種の選定、栽培技術の確率と併せ、抱える

諸問題の調査を目的として、先進地である富士市

及び静岡県農業試験場を視察し、栽培技術と

販売体制等を研修しました。

昭和35年頃の出荷風景画像

 昭和30年には、東北方面(会津若松市場)への市場調査を実施し、長距離輸送での着荷状況、品質を

確認し、先進地である富士かんらんと十分競争できる事に自信と確信を得ました。栽培技術では、富士かんらんの

栽培技術を基に展示圃の成績や農家の体験を集約し、併せ篤農家の助言を得て、銚子地域に適した

栽培基準を作成し統一しました。

 市場動向では、5月の出荷販売より4月出荷が高値に販売されているため、4月出荷について協議検討を重ね、

翌年には普通栽培型から極早生栽培型への導入に方針を変更し、本格的な普及に取り組み、春キャベツ

栽培の第一歩を踏み出しました。

 展示圃の設置継続、栽培技術の普及、組織の結成、出荷資材、輸送対応、販売対策等について連日

協議検討し、集団栽培、共同販売体制を整え、共同販売賛同者を集め、千葉県販購連の指導を頂き、

始めての共同販売を展開。

灯台印甘藍荷札画像

 改めて、当時の先覚者達の生産から販売に至るまでの

苦労と熱意により、昭和32年7月1日、

「灯台印甘らん」の銘柄と、「灯台印」をトレードマーク

とした銚子市蔬菜出荷組合連合会の設立となりました。

 現在の銚子野菜産地を築く布石です。

 指定産地の関係では、昭和36年に千葉県特産地の指定、翌昭和37年に国の園芸特産地指定を受けました。

続いて昭和41年には、国の指定産地を受けました。これらの指定を受けたことで、産地拡大へのはずみになりました。

2)組織の再編統合への経過

 ア、大根部会の設立

 大根の栽培は、明治初期に自家用として漬物用を中心に栽培されており、昭和20年代に

一部を商用に栽培しました。

 市場出荷体制は昭和30年代の中頃より農協を中心に出荷が始まりました。昭和41年には、

三交大根を中心に約100haの栽培面積となり、昭和52年より新時無大根のトンネル栽培が導入され、

53年には約30haの栽培面積で191名の栽培者となり、銚子地域大根連絡協議会が設立されました。

 取り扱い品種は新時無大根のみのため、農協では昭和54年より天春大根(サカタ試交100号)を導入しました。

 また、同年度に青首大根(耐病総太り)の導入を行い、昭和57年に銚子市蔬菜出荷組合連合会より独立し、

銚子農協大根部会を設立しました。生産技術指導と共に、共販共計を行い市内統一を図り、

昭和60年にはトンネル天春250ha、露地青首大根210haで合計460haの産地を形成し、現在に至っています。

 イ、とうもろこし部会の設立

 食用未成熟とうもろこしの栽培は、椎柴地域にて昭和20年代に一部の農家により栽培されていた記録があります。

 その後も少ないながら農家の自家用を中心に栽培が継続的されていました。昭和46年に甘味種の

ハニーバンタムの出現により飛躍的に栽培拡大されました。

 また、キャベツ等の野菜連作障害回避から地力低下を緩和するためにソルゴーの栽培が行われましたが、

出荷(収穫)後の茎葉を緑肥として鋤込むことを目的に「とうもろこし栽培」が増大しました。

 作付けは150ha位の面積を保有しても大半が二期作キャベツ収穫後に播種するため、8月集荷に集中し、

市場価格との相関により価格が安価な時は、そのまま鋤込んでしまい品質面、数量面から市場での評価は低いものでした。

 昭和57年に小浜地先に真空予冷庫を建設し、栽培及び出荷体制が見直され、翌年、昭和58年に

銚子市蔬菜出荷組合連合会より独立し、銚子農協とうもろこし部会を設立しました。

 組織的活動から計画的作付け、作期の拡大、良品質生産の意識改善が行われ現在に至っています。

 ウ、銚子野菜連合会の設立と取り組み(組織の再編と新時代へ向けての統合)

 「大根部会」「とうもろこし部会」の基は、銚子市蔬菜出荷組合連合会から独立した組織であり、作付けの拡大や、

生産者の増大に応じ、よりきめ細かな生産指導、出荷販売等の流通体制を要求されたため単品目組織として活動を開始しました。

 新組織として活発な事業展開を行い10年を経過し当初の目的を達成されたため、さらに充実した組織の

基で生産、販売等の事業展開を行うため平成6年10月に「JA銚子野菜連合会」の設立となりました。

 これには、平成2年に銚子生産組織連絡協議会の設立から、各組織の交流が行われ、新たな時代への

対応を目的とした「新組織設立準備委員会」を結成。銚子生産組織連絡協議会の役員を構成員として

野菜部門の再編統合への取組みを行い、平成6年10月5日に「JA銚子野菜連合会」現在、農協合併に伴う

名所変更から「銚子野菜連合会」と称す組織の設立となりました。

 銚子市へ「キャベツ」を導入し50年、大根組織を構成し21年、とうもろこし組織を構成し20年、大きな歴史を

持つ生産組織の統合から10年。それぞれの組織活動を通算すると101年の活動記録になります。

 近年10年間での大きなポイントは、キャベツ・大根を日量約100,000ケース予冷することができるグリーンホーム

とバンタム等を日量23,000ケース予冷できる真空予冷庫を設置したことによる流通変革です。

 これらの施設は、新鮮でおいしい銚子野菜を畑から食卓まで届けることができるようになり、信用度のアップが図られました。

 平成13年に国内初のBSEが発生以後、国民の食に対する「安心・安全」への意識が急速に高まり、産地として

新たな対応が求められるようになりました。  銚子野菜連合会では、早くから栽培暦の統一に着手しておりました。

 それに加え平成14年から栽培履歴の記帳運動に取り組んでおります。また、減化学肥料・減農薬栽培など

特別栽培への取り組みにもいち早く着手し、品質面においても、規格の統一と向上を図っております。

とうもろこし早朝収穫体験画像

 昨年の平成15年からは、安全への自覚と

栽培に対する責任を持ち、JAグループが

提唱する「もっと安心農産物」に登録すると

ともに、千葉県の「ちばエコ農産物」の産地

指定と認証を受け、消費者に安心して食べて

頂けるキャベツ、大根の取り組みを進めて

います。  現在、銚子野菜連合会は、

150万ケースのちばエコ農産物と850万

ケースのキャベツ、大根出荷を目指し出荷

最盛期に入ろうとしております。

銚子市長も参加「とうもろこし早朝収穫体験」平成15年きんめだいまつりへの参加から

Homeページへ